クズレタ果実【完】
「…そうかも知れないね。でも、捨てられた事は、割り切れない」



「そうだな。北川の本当の姿を見てくれなかったな」



落ちる私を、冴嶌はそっと抱き締めてくれた。

カーテンの隙間から見えた月が揺れてるのは、私の涙のせいなのか。



「ありがとう…」



「馬鹿」と言って、また箸を持った冴嶌の背中は逞しく、私は強い気持ちで居ようと決めた。

そして、お金については両親に感謝しようと思った。
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