クズレタ果実【完】
涙が雨に混じり、倫子に落ちる。



「倫子…お願い、目を開けて……倫子……ごめんね、倫子ごめん…っ…」



「おい!救急車が来たから!」



後ろに居たおじさんが、倫子から私を離れさせ、救急隊員の人に道を譲る。

知り合いだと知った隊員さんが、私も救急車に乗るように、腕を引く。



「ご家族に連絡を取れますか?」



「倫子には…家族が…っ」



私より、頼る相手が居なかった倫子。

私は何故、1人にしたんだろう。
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