クズレタ果実【完】
ずっと繋けなくとも残して置いた母親の携帯番号を引き出し、変わってるかも知れないけど、電話をしてみる事にした。

病院の外に出て、軒下で通話ボタンを押した。

“許さない”と、ただそれだけを唱えるかのように、心の中で。



『もしもし…北川ですが』



「電話番号、変わってないんですね」



『苺華…?』



例え腐った関係でも、母親って事だろうか。

声だけで、私に気付くなんて。
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