クズレタ果実【完】
廊下に用意された長椅子で、教頭と唐木先生を見送りに行った冴嶌を待つ。



「少し、良いかな」



「……」



もう帰ったと思ったのに。

罪悪感は感じてる桃哉さんだけど、私は何を言って良いのかわからず黙る。

しかし、「妹さんから」と手紙を差し出されると、手が伸びてしまう。

“お姉ちゃんへ”と、あの頃よりも綺麗になった字を見て、月日の長さを感じた。
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