クズレタ果実【完】
「ここでの生活は、いかがですか?」



重くなった場の空気を変えるように、冴嶌は話を変えた。

部屋を見渡し、「ふふっ」と笑みを溢した母親は、同情はいらないと言わんばかりの笑顔だった。



「あの人からは、正確にはこの子たちの祖父母から慰謝料はたっぷり貰いました。ここに住まなくてもやって行けるほど。でも、広い家は嫌なんです。子供と目と目を合わせる事が減るのは、寂しいから」



私と梨華をまっすぐ見て来る母親は、ここでの生活に満足してる感じ。
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