クズレタ果実【完】
冴嶌は母親に頷き、「何かあった時は」と、電話の横にあったメモに電話番号を書き、手渡した。



「残念ながら、彼女を置いては帰りたくないので…」



「はい。苺華の事、よろしくお願いします」



バイト時間が迫った梨華と、私たちは一緒に出る事にした。

母親と握手を交わし、「また来るね」と伝えて、車まで梨華と歩き出す。



「じゃあ、お姉ちゃんと冴嶌さん。元気でね」



終始、笑顔だった梨華は、後ろ手を振りながら行ってしまった。
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