クズレタ果実【完】
「開いたよ?」



「わかってる」



本当にするとは思ったみたいだけど、久しぶりにキスするきっかけが出来たのに、しない筈もない。

恋人らしい事もなく、ただの家主と家政婦になったけど、私たちは違う。

ちゃんと、恋人だもん。

夕焼け染まる空を見ながら、シートに身体を預ける。

冴嶌の隣に居るからか、景色だけじゃなく、心が温まった。

捨てきれない父親への思いもあるけど。
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