クズレタ果実【完】
ビールを霧のように吹き出した冴嶌は、自分で布巾を持って、テーブルや床を拭く。



「急にどうしたんだよ」



布巾をキッチンに洗いに行きながら言う冴嶌に、私は先ず、箸を置いて深呼吸。

手汗をデニムで拭うも、次から次へと出て来る。



「何か…キスも何もないから、気になって…」



「色気はあるだろ」



「……」



…駄目だ。

きっと私は、欲求不満。

寂しいんだ。
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