クズレタ果実【完】
「…泣きそうな顔して。本当は何かあるんだろ」



「ない!……ご馳走さまでした」



お皿を持ち、キッチンに行き片付けをする。

油を固める為に粉を入れた天ぷら鍋が覚めたのを確認し、固まり具合を見るも、まだちょっとだけ、時間が掛かりそう。

冴嶌の視線も気になり、私はその間にお風呂の準備をしようと、ダイニングを通り越そうとする。



「――待てよ」



しかし、腕を掴まれてしまった。
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