クズレタ果実【完】
「俺、何かしたか?」



「……」



「質問に答えただけで、何もしてないよな?」



「…してない。何もしてない!」



冴嶌が久しぶりに私へと触れたと思えば、ただ掴まえただけの事。

求めるのは、私だけ?

冴嶌は私に、求めてはくれないの?

一方通行の気持ちが、重い。

そして、苦しい。



「苺華?」



…優しい声で、名前を呼ばないで…。
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