クズレタ果実【完】
「んンッ――…」



冴嶌から離れようとした瞬間、それは突然に重なった。

貪るようなキス。

私は呆然とし、されるがまま。



「良いのか?」



「しといて訊くの?」



「朝早くから家事して、夜遅くまで勉強。俺は苺華の身体が心配だった。その心配が、泣かせるとは思わなかったけど」



「…私は冴嶌と、もっと近付きたい…」



修学旅行のあの日から、私は冴嶌と、深いところから近付き。

繋がりたかった。
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