クズレタ果実【完】
「形の変なリンゴを切ってスライスして漬けたただのリンゴ。
五条も皮を脱げば、ただの人間。
無理すんなよ?お前はお前なんだ。リハビリもゆっくりで良い」



「うん。ありがとう、冴嶌」



タッパを手にしたまま、頭を下げた倫子は、蓋を開けて一口、味わう。

そして、親指を立てた。



「美味しい」



「だろ?」



「私が教えたから、当たり前!」



作ったのは桃真だけど、私が居なきゃ無理だった筈。
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