クズレタ果実【完】
車は私のアパートへと向かった。

巻いた髪、丁寧に施したメイク。

新しい服も無駄に感じた。

別れは嫌だと思うのに、どうでも良い事で拗ねる自分が大嫌いになった。

拗ねたって、構ってくれるわけないのに。

私は馬鹿な女だ。

待ち合わせした駅から抜け道を使い、10分も時短。

桃真は部屋に入るなり、座布団に座り、新聞を広げた。

お茶よりコーヒー派だと、もうわかってる。

私は淹れたてのコーヒーを、テーブルに置き、メイクを落とした。
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