クズレタ果実【完】
けど、証拠を与えるつもりもなく、認めるつもりもない私は、冴嶌に口元だけを緩めて、笑ってみせた。

嘉川を味方しようとも、絶対に負けない。



「先生、ちょっと保健室に行って来ます」



「気を付けて行って来なさい」



腹痛のフリして、教室を出た。

授業を再開した冴嶌とドア越しに目が合う。

お互いに挑発し合ってるような感じだったのに、冴嶌の私を見る目が変わった。
< 42 / 320 >

この作品をシェア

pagetop