クズレタ果実【完】
先ずはホテルに移動みたいだけど、気分だけじゃなく、体調も優れなくなって来た。

酔った人の為に開けてある前列の席に座らせて貰い、景色も眺める事なく目を瞑って到着を待つ。



「大丈夫か?北川」



午後の予定を話終えた冴嶌が隣へと来て、私の額に手を当てる。

「熱はないな」と言う冴嶌に、私は“当たり前”としか思わない。

これは気持ちの問題。

私もちゃんと楽しめば、元気になる筈だから。
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