Welcome to the world
鍵
浅香学院大学、都内で五本の指に入るほどの名門大学だ。残念な事に、僕は学生時代あまり頭の良い方ではなく、名門大学の敷地に足を踏み入れるのは初めての経験だった。
二人に案内されて向かう先は、学院のシンボルである時計塔。想像を遥かに越える高さと、外観の美麗な装飾。ここなら確かに、扉の一つがあっても可笑しくはない。寧ろ、これだけの外観にそぐう扉は他には無いのではないだろうか。
「ここが、件の時計塔です。」
「扉があるのは最上階の、管理人室です。」
文化部長の男子に続く様に、説明をするもう一人。
「ふむ、ではさっそく扉のもとへ行こうではないか。」
そして何故か機嫌の良い鈴。その瞳は、怖いもの見たさに階段を飛び降りる小学生にそっくりだった。
時計塔の中は、外よりずっと涼しかった。石造りの時計塔の利点だ。そして、上へと続く螺旋階段。一つ、また一つと段を重ねるごとに、不安と期待が押し寄せて来る。最上階に着くまでの間、何枚か扉があった。外見はそっくりだったが、別世界に繋がる魔力というか、扉の生命力を感じない。おそらく、普通の扉だろう。最上階にある本物の扉を隠す為に、同じ見た目で造った様だ。
そんな事を考えていると、ふいに開けた階に出た。見上げると、時計塔の鐘が大きく見えた。どうやらここが最上階の様だ。
二人に案内されて向かう先は、学院のシンボルである時計塔。想像を遥かに越える高さと、外観の美麗な装飾。ここなら確かに、扉の一つがあっても可笑しくはない。寧ろ、これだけの外観にそぐう扉は他には無いのではないだろうか。
「ここが、件の時計塔です。」
「扉があるのは最上階の、管理人室です。」
文化部長の男子に続く様に、説明をするもう一人。
「ふむ、ではさっそく扉のもとへ行こうではないか。」
そして何故か機嫌の良い鈴。その瞳は、怖いもの見たさに階段を飛び降りる小学生にそっくりだった。
時計塔の中は、外よりずっと涼しかった。石造りの時計塔の利点だ。そして、上へと続く螺旋階段。一つ、また一つと段を重ねるごとに、不安と期待が押し寄せて来る。最上階に着くまでの間、何枚か扉があった。外見はそっくりだったが、別世界に繋がる魔力というか、扉の生命力を感じない。おそらく、普通の扉だろう。最上階にある本物の扉を隠す為に、同じ見た目で造った様だ。
そんな事を考えていると、ふいに開けた階に出た。見上げると、時計塔の鐘が大きく見えた。どうやらここが最上階の様だ。