Welcome to the world

扉のムコウ

「では、君に扉と対面してもらおう。ああ、言い忘れていたが扉には相性がある。大概は問題ないが、ごく稀に相性が合わず、扉に掛かった魔術に侵される者がいる。そうなった場合、私にはどうする事も出来ない。君はゆっくりと滅びていく。その覚悟はあるな?」
鈴の問いに頷く少女。それを確認すると、鈴は自らの長い髪を縛っていた深紅のリボンを解き、藤高涼歌の手首に結んだ。鈴は少女に語り掛ける。
「いいかい。これが扉との契約の印になる。『夢をみない世界』を強く願いながら、一気にリボンを解くんだ。」
「分かりました。」
そう答えると、藤高涼歌は意識をリボンに集中させる。そして、ふいに少女の唇が歪んだその瞬間。

彼女はリボンを解いた。

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