うさぎとらいおん
「凛也くん。」
ひっぱられていた私が声をかけると、止まってくれた。
そうしてこっちを見ると、凛也くんは私をぎゅっと抱きしめた。
「やめてっ!」
どんっと凛也くんの体を押すと、自然と離れる距離。
凛也くんは私がこんなことするなんて、と目を見開いていた。
そうだよね、私が凛也くんに逆らったことなんてないもん。
私は深呼吸をすると、話始めた。
「今日はね、凛也くんに伝えたいことがあってきたの。」
「…なに?」
そう聞いてきた凛也くんの顔はひどくまじめで、こっちも自然と顔がこわばる。
そして、話そうかと思ったとき、気付いてしまった。
私が好きだって伝えても、凛也くんが私のことなんて好きじゃなかったら、この幼馴染という関係も崩れてしまうんじゃないか。
幼馴染でもなかったら、きっと私たちの間に関係なんてなくなってしまう。
そう思い始めると、たった2文字の言葉なのに言えなくなってしまった。
.