うさぎとらいおん
「私こそ、ごめんなさい。」
頭を下げて深々と謝ると、それを制す声。
「んな頭下げんな!女なんだから。」
「俺の顔が怖ぇから仕方ない。」と謝ってくる向こうに、「いえいえ私の方こそ。」と譲らず謝る。
それを何回か繰り返した後、私たちはお互いの顔を見合わせて笑った。
「お前、面白い女だな。名前は?」
「粂井茅沙です。あなたは?」
「俺は向田紘。みんなからヒロちゃんって呼ばれてるから、茅沙もそう呼べ。」
立ち話をして、仲良くなったヒロちゃんと私。
話をしてみて、やっぱりヒロちゃんは優しいということがはっきりと分かった。
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