うさぎとらいおん


「凜也くんっ!」


凜也くんの名前を呼びながら、家の中を走り回る。
改めて大きな家だなぁと実感しつつキョロキョロしていると、見覚えのあるシルエットが目に入った。



そのまま全速力で駆けていく。
そして、勢いよく飛び込んだ。



「凜也くんっ!」

「っ、茅沙!?」



私を受けとめてくれた凜也くんは、何故かとても久し振りにあったような気がして、腕に力を入れて、ぎゅーっと抱きしめた。

「茅沙もそいつがいいのか…」



その声の方を向くと、そこにはヒロちゃんの姿が。

さっき昌斗さんに聞いた話を思い出して、ぎゅっと胸が痛んだ。


「茅沙は最初から俺のだから。」


「おまえは俺から全部奪い取っていくんだな。」


そう言って懐から取り出したのは、拳銃。

さすがの凜也くんでも、驚いたみたい。


私はさっき向けられもしたからなぁ。
ヒロちゃんの行動を見ていると、拳銃はそのまま凜也に向けられる。


その瞬間、凜也くんは私を突き飛ばしたけれど、私は凜也くんにぎゅっとしがみついていたわけで。



その反動を利用してぐるっと回ると、私に向かって発砲されていた。




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