うさぎとらいおん


一瞬、何が起きたのかわからなくなって。


あぁ、撃たれたんだ、と理解したときには、あまりの痛みに意識を失っていた。










しばらくして目を開けると、見覚えのある部屋。
どうやらさっきまで私がいた部屋っぽいけれど…


辺りを見回していると、ふすまの開く音とともに凜也くんが現れた。





「茅沙!…このバカ!」


いたわりの言葉もなしに、いきなり頭にチョップを入れられる。
そんな容赦ない凜也くんに文句でも言ってやろうと思ったのに、それは言葉にする事ができなかった。


凜也くんが私をぎゅっと抱きしめたからだ。



私も凜也くんの背中に手を回そうとするけれど、左腕は痛くて動かし辛い。

しょうがないから右腕だけでも、と腕を回したとき、またもや襖があいた。






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