うさぎとらいおん


「人の家でいちゃいちゃすんの、やめろ。」



お水と、薬を持ったヒロちゃんがそう言って入ってきた。

私は瞬時に手を離すけど、未だに凜也くんの腕は私を抱きしめたまま。



そして、そのままの体勢で凜也くんはヒロちゃんを睨みつけていた。


「俺だってこんなとこに長居するつもりはない。」


「紅山凜也、本当に茅沙が好きなんだな。」




「………………。」





そのまま二人の会話は終わり、ヒロチャンはこっちに近付いてきた。



「ほんとにごめんな、茅沙。」


「これ、痛み止めだから。」と、薬を渡される。

「大丈夫、気にしないで?」


そう言い返すと、「そうか。」と言って頭をぐしゃぐと撫でた。




「って!」


ヒロちゃんがいきなり声を上げたからそっちを見れば、いかにも殴りましたみたいな拳を作っている凜也くんが。


ヒロちゃんは頭を抑えていた。



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