うさぎとらいおん


きゅっと苦しくなった胸元を抑えて逃げるように走り出す。
去り際にもう1度振り返って見ると、きれいな女の人と目が合い、まるで見せつけるようにもっと凛也くんに近づいていた。




ひたすら走った後、寮の自室についた私はドアに背を向けて崩れ落ちるように座った。

凛也くんが私以外の女の人とあんなにべったり一緒にいるなんてこと初めてで、凛也くんの隣はいつも私だと思っていたのに…。



ぽろぽろと涙が零れ落ちる中、私は気付いてしまった。




もしかして、あのきれいな女の人もキスマークをつけられたのかもしれない…。



凛也くんは、キスマークをつけて嫌じゃなければ交渉成立って言ってたし、もしかしたら交渉成立したのかもしれない。
だから、私との交渉はもう終わって、今はあの人と恋人同士になっているのではないか、と。








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