世界が逆転した日
「もしあっちゃんがそんな目にあったら、俺は絶対にあなたを許しません。」


あー...、もうごまかせないな。

明宏、あっちゃんって言っちゃってるし。


「明宏、俺行くよ。俺が生きていることがバレたら、明宏も学会追放になる。
俺はどんな目に合ってもいいけど、明宏には迷惑かけたくない。

それに、亮ちゃんは秘密をばらすような男じゃないから大丈夫だよ。」

脅すようなこと言ってるけど、亮ちゃんはたぶん、ただ事情が知りたいだけ。

メンバーも急に俺がいなくなって、すごく心配してたと思うから。
何ヵ月も行方不明になって、もうほとんど生きている望みがない俺を。


「分かりました、あっちゃんがそう言うなら。
ただし、俺も行きますから。」




俺たち三人は、集まってきた野次馬を押し退けて亮ちゃんのアパートへ向かった。

亮ちゃんの家には、俺も何度か行ったことがある。

1LDKの小さなアパートで亮ちゃんは一人で暮らしている。

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