世界が逆転した日
「引いてないよ。元々同性同士の恋愛には偏見持ってないから。
それに今のあっちゃんは女なんだから何も問題ないんじゃない?
もう男に戻れないなら、女として生きていくしかないでしょ。」


女として生きていく、か。

それを聞いて気まずそうに下を向いた明宏が少し気になったけど。
そろそろバンドの練習に行く時間だから送っていくと亮ちゃんが言い出したので、結局明宏がそんな態度をとった理由を聞くことができなかった。


明宏と亮ちゃんは携帯の番号を交換して、また何かあったら連絡することを約束した。...明宏は嫌そうな顔してたけど。




明宏、ごめんね。
あの時すぐにでも、家に帰ってからでも聞けば良かったんだな。

あのことが明宏をどれだけ苦しめているかなんてちっとも気づかなかったんだ。
気づくことが...、できなかったんだ。
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