世界が逆転した日
だけど、もしかしたら2ヶ月単位で移動しているのかもしれない。
つまり、同じ世界に滞在する時間が2ヶ月。

なんて、そんなことを冷静に考えている自分が少し怖い。
慣れというものは、恐ろしいものだ。

明宏のことが心配ではあるけど、もう一人の俺が入れ替わりでいったはずだ。
もう一人の俺がどう行動するかは分からないけど。

前はパラレルワールドに移動した反動で、俺の記憶を共有している状態だった。
もし自分が生きてきた人生の記憶を取り戻したら、あの家を出ていってしまうかもしれない。

もう一人の俺は、明宏と何年もバンドのメンバーとしてやってきた。
男と付き合う趣味がなければ、その明宏と恋人なんて耐えられないんだろう。

俺だって男と付き合う趣味があるわけじゃないんだよ!?
俺の場合は色々事情があったから仕方ないよね?

もう一人の俺があの家を出ていったとしても、2ヶ月後にはあっちの世界に帰れるはずだ。
パラレルワールドに移動する原因ももう少しで分かると明宏は言っていた。
だから、2ヶ月待ってみよう。

その時の俺はそんな気楽なことを考えていたんだ。
そうではないということも知らずに。
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