世界が逆転した日
バンドの活動には支障はないわけだし、特に俺が反対する理由はない。
先輩として、友達として、明宏を祝福してあげなきゃいけないんだ。

だけど、明宏の彼女がうらやましくて仕方ない。
俺にはそんなこと、一生できないから。

別に結婚がしたいわけじゃない。
ただ、明宏とずっと一緒にいられたら、それでいいのに。

俺にはそれすらできない。

...。
ああ、もう!飲んでやる!
飲んで嫌なこと全部忘れるんだ。


「ちょっ...、あっちゃん!?」


ジョーが飲もうとしていたワインの入ったグラスを奪いとって、一気飲みした。
こんなに強いお酒を飲んだのは、人生で初めてかもしれない。
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