世界が逆転した日
「...もし、男に戻れるとしたら戻りたいですか?
男に戻ったら、まだ戸籍もあると思うのでパスポートも再発行できますよ。
バンド...は新しいボーカルがいるから戻れるか分からないですけど、少なくとも今よりは普通に生きていくことができます。
女の子と恋だって、できるんです。」


思い詰めたような顔でそんなことを言い出す明宏。

ただの例え話ではないみたいだ。
だとしたら、俺も真剣に答えなくてはいけない。

男に戻れるとしたらなんて、何度も考えたけど。
答えははっきりと、明確にNOだ。

明宏を好きになる前だったら戻りたいと思っただろう。
今は明宏が何より大切だから。

これから先もずっと、明宏以外の人と恋なんてしたくない。



「明宏、俺は...。」



< 192 / 203 >

この作品をシェア

pagetop