世界が逆転した日
「俺を、恨んでください...。
実はずいぶん前に男に戻す方法は分かっていて、それをずっと黙っていました。

俺は卑怯な男なんです。
あっちゃんは男に戻ったら、この家にいてくれないでしょう?
俺は、あっちゃんを手放したくなかった。」


今の今まで、そんなことがあったことさえ忘れていたけど、

亮ちゃんの家で、女として生きていく、という言葉を聞いた時、明宏が気まずそうにしていた理由がやっと分かった。

明宏は、俺が女として生きていく以外の道を知っていたんだ。

隠し事をされていたのはショックだけど、明宏の気持ちも分かるし、腹が立ったりはしない。

男に戻るなんてそんなことよりも、明宏の方が大切だから。
そんなこと、じゃないかもしれないけど、俺にとってはそんなことだ。


「明宏、聞いて?
俺は明宏を恨んだりなんてしないし、そんな必要もない。
明宏がいなかったら生きてないんだよ。

だから、俺の命も心もこのカラダも、全部明宏のモノだ。
明宏の好きにしていい。」
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