世界が逆転した日
目的地があるわけではないけど、ただひたすらに、走り続けた。

どのくらい走っていたのか分からないが、もうすっかり夕方だ。

いつのまにか俺が昔住んでいた家にきてしまった。
正しくは家があった場所で、今は空き地だ。

無意識のうちにここにきたかったのかもしれない。

家のすぐそばの河原に腰を下ろした。

事故に遭って、それから明宏と初めて会った場所。

ここで全てが終わって、始まったんだ。

最初から間違いだったのかな。

俺たちの出会いは、明宏を愛してしまったことは間違いだったのかな。

明宏の言う通り、あの時俺には明宏しか頼る人がいなかった。
その頼れる人が別の人だったとしたら、彼じゃなくて他の誰かでも好きになっていたかもしれない。

それは分からないけど、俺はもう明宏じゃなきゃだめだ。
過程がそんなに重要なの?大切なのは今の気持ちじゃないの?

そんなことは...どうでもいいか。





もう終わったんだから。




これも全て俺が招いたことだ。

もっと早く好きだと伝えていたらこんなことにはならなかったかもしれないのに。
明宏があそこまで思い詰めることもなかったかもしれないのに。

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