世界が逆転した日
最後にもう一度だけ明宏の家に戻って、男に戻してもらおう。

それで、普通に働いて、彼女作って...。
明宏もいつか他の誰かと恋をして、結婚するだろう。



...辛くなんてない。
これでいいんだ。



俺は最初から男だったんだから、元に戻るだけ。

明宏への気持ちは思い込みで、錯覚だから、他の誰かでもいいんだ。
明宏がそう言ったから。


辛くなんてないけど、明宏なんて全然好きじゃないけど。

それなのに、さっきから涙が止まらない。

きっとこれは、男に戻れる嬉し涙だ。

それ以外の涙なんて流しちゃいけない。

会うのが怖いなんて思ったらいけないんだ。
会ってしまったら、離れたくなくなってしまう、だなんて。

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