世界が逆転した日
明宏は何も言わなかったから、何を考えてそんなことをしたのかよく分からなかった。


それでも、抵抗しようなんて言う気は起きなかった。

別に嫌じゃなかったし。

男に抱かれるなんて抵抗するべきだったのかもしれないけど。




男とか女とか、もうどうでもいい。


きっと、誰にも俺の気持ちは分からない。


帰る家も、家族も、友達も、夢も、

自分というアイデンティティーさえも失った俺の気持ちなんて。


男なのか女なのかも分からない俺の気持ちなんて。


もうつかれたんだ。




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