私と君の夏限定



「珍し、志貴が居んじゃん」

色素の薄い髪の男が長髪の男にそう言う

「なんやねん、陽太まで」

「までってことは俺に言われる前にも言われたんだ」

「私が言ったんですよ、陽太先輩」

「まぁ田中ちゃんしかそんなこと言う人は居ないと思ったよ」

「うっせーよお前ら」

「私お腹減りました。早く食べましょうよ、先輩たち」

「蓮斗、どうせ今日もパンでしょ?だから私、お弁当作ってきたんだ」

「ありがとな、朱音」

彼がお弁当を受け取ろうとした時、私は彼の名を呼んだ

「蓮斗!!」

私が彼を呼ぶと周りにいた人が一斉に此方を見た

と言うわけで、私は飛んだ。蓮斗目掛けて

「おまっ───」

まぁ咄嗟のことだから受け止められるはずなくバランスを崩して後ろに倒れる蓮斗

その為必然的に蓮斗の上に馬乗りになる私

そのまま彼に顔を近付けてキスした────かったが邪魔された

「嬢ちゃん誰や?」

長髪君に襟を捕まれ蓮斗の上から退かされる

しょうがないから私は起き上がり彼、彼女たちの方を向いた

「私?私はね、妃って言うんだ。笹川妃」

にっこりと笑って言えば怪訝そうに眉を潜める長髪君

「蓮斗との関係は?」

「何で君に言わないといけないの?───志貴先生」

あ、癖で先生ってつけちゃったよ

「何で俺の名前知ってるんや?それに先生って…」

「私は知ってるよ、此所にいる全員のこと」

「何言うとんねん、自分」

「そこの三つ編みちゃんが唯ちゃん。生徒会唯一の1年生。生徒会会計担当…だよね、唯ちゃん?」

「え、あ…はい」

不思議そうに私を見る唯ちゃん
三つ編みと眼鏡とると可愛いのにね、この子

「で、色素の薄い髪の君がよーくん…陽太くん。生徒会のムードメーカ的存在。生徒会書記担当。そして…」

私は彼に近づく。すると彼は一歩下がる

まぁ下がっても結局壁に追い込まれるから意味ないんだけどね


彼に近づき耳元で囁く

「そして君は誰よりも人に気を使う。たまには我儘言っても良いと思うよ?」

クスリと笑って彼から離れればよーくんは驚いた表情をしている


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