年上の花嫁。年下の花婿。
偽りの愛の誓い

AM11:00
In 教会



目の前の気難しそうな神父の言葉を聞きながら、こっそりと隣に立つ男を見る。


片桐冬馬(かたぎりとうま)


170近くある私の隣に立っても見劣りしない彼は180後半くらいだろうか。
しかも、 大手企業の御曹司。三男だから継ぐつもりはないらしいが、それでも超がつくお金持ちには違いない。
顔も悪くない……いや、悪くないどころか、かなり上等だ。

アーモンド形の目に、すっと通った鼻筋、形の良い唇。

そして、どことなく漂う気品はその生まれ故だろうか。


普段はワックスで毛先を遊ばせている濃いブラウンの髪も今日は右側へ流して固めている。









ふと、この顔と出会うきっかけとなった仕事を思い出した。
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