年上の花嫁。年下の花婿。
去年の春先に私は、個人宅のリフォームの仕事を任された。
クライアントは事務所の社長の古い友人の榊様で、某有名食品会社の社長様だ。
今期限りで現役を退いて、今後は奥さんと2人、悠々自適の生活を送りたいとのこと。
今後衰える身体のことも考えてのリフォームだと言われ、伸ばした背筋が微かに震えたのを、今もはっきりと覚えている。
仕事を頂く時はいつも武者震いのような震えを感じるが、今回は特に良い仕事と巡りあったと感じた。
だが、今考えれば、その震えはこの仕事によってもたらされる人生の転機を伝える前触れだったんだろう。