年上の花嫁。年下の花婿。

「あの…それは…」


目を見張る私に武藤様は優しく微笑んだ。




「もちろん、引き抜きのご相談です。」





あまりの驚きに言葉も出ない。

"KATAGIRI"が。あの一流企業が。

私を引き抜きたい、だなんて。


「相沢さん。申し遅れましたが、私はこういう者です。」


呆然としながら、差し出された名刺を覗き込む。








"KATAGIRI人事部統括部長 武藤栄(むとうしげる)"









白昼夢ではないらしい。