年上の花嫁。年下の花婿。
武藤さんから連絡をもらって向かってみれば、武藤さんの姿はなく、何故か年下のイケメン君がいた。
「いきなりで驚かれるのも無理はありません。ですが、僕はいい加減な気持ちで言っている訳じゃないんです。」
「あの、武藤さんは…?」
「僕は武藤の代理です。あ、名刺まだでしたね。」
差し出された名刺を見て驚いた。
"KATAGIRI Home 社長秘書 片桐冬馬(かたぎりとうま)"
「片桐って、まさか……」
「僕は現社長、片桐清孝(かたぎりきよたか)の三男です。」
「…………。」
何なんだ。いったい全体。
ここ10日ほど、私の周りはおかしい。
いや、引き抜きの件はおかしくない。私の仕事が認められたってことなんだから、むしろ、誇りに思うべきこと。
が、これはいくらなんでもおかしい。
何で引き抜きの2日後に、引き抜き会社の御曹司からプロポーズされてるんだ、私は。
「…相沢さん?」
「っっ!?」
何も言わない私を不審におもったのか、目の前のイケメンが向かいから身を乗り出して私の顔を覗き込んできた。