愛するということ
その日は、瞬だけがオヤジに残るように言われて、俺たちは、先に帰ることになった。



俺は、病院の出口のところで、病室に傘を忘れたことを思い出して、戻ったんだ



病室に入ろうとして、ドアが少し開いたところで、オヤジの横顔と、号泣する瞬の背中がみえて、その場から動けなくなった・・・



「父さんがいなくなった後、母さんが父さんの会社をやっていかなくてはいけない。家のことは、拓馬が中心になって、やっていけばいい。

だがな、拓馬も隼人も男だ。


友里はまだ小さい。お母さんが必要な年齢だ。それに、喘息がある。
だから、瞬・・・お前が、母さんの代わりに家族を守れ。」



「・・・」



「瞬・・・お前は強い子だ。きっと、できるはずだ。父さんは信じてる。」




オヤジは、そこまで言うと、フッと笑って、瞬を抱きしめた。
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