愛するということ
「瞬ちゃん?どうかした?」



そんな私の動きを変だと思ったのか、友里がサッと手から取り、涼へ手渡す。



「ううん、隼人も帰ってくるなんて、大げさだなぁって思っただけ。」


「なに言ってんの。瞬ちゃんの結婚の挨拶でしょ。大袈裟じゃないでしょ。あたりまえ」




友里には、「そうかな」と言いながらも、私の動揺は、治まらない。


手は、震えていない。
顔は、なんとか笑顔を作れている。


大丈夫、大丈夫・・・



そう、心の中で唱えていると、テーブルの下にある私の手を、涼がキュッと握ってくれた。




驚く私の顔を見て、「緊張するのは、僕の方だけど?」と友里に聞こえるように耳打ちしてくれた。
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