愛するということ
その傷は、まだ俺も瞬も小学校に通う前のコト――



近所の男の子と木登り競争をした瞬が、木から降りれなくなって、一人大泣きしてて、俺が、助けに登ったけど、足をかけた枝が折れて、落下した結果、脇腹に小枝が刺さってできた傷。




「結局、助けられなかったのに?」


「そうだけど、私、あの時のコトは今でも忘れてないよ。
隼人『下を見るな、俺だけ見てろ』って言いながら登ってきてくれた。



その時『もう大丈夫』って本当に思えたんだよ



その後だって、パパに背負われながら、自分の怪我なんて全然気にしないで、『瞬を助けられなかった』って泣いて…」

< 196 / 217 >

この作品をシェア

pagetop