愛するということ
突然名前を言われて驚いたのか、一瞬目を見開き、掴んでいた腕を放した足立君をみて、一気に話を進める。



「友里、見ればわかるでしょ。怯えてる。だからもう、友里には近づかないで。分かるよね。足立隆平君」


彼の名前を、前から知っていたっわけじゃない。ただ、ラケットケースについていたキーホルダーに『足立隆平』って書いてあったのをみつけただけ。




本当は、悪い子じゃないんだろうな・・・




足立君に、ちょっと同情しながら、友里をつれて歩き始めた。

足立君は、ただ私たちの背中を見つめているしかないように、その場に立ち尽くしていた。




「瞬ちゃん、ありがとう。私、どうしていいか分からなくて・・・」

ホッとしたのか、夕日のせいか、友里の顔は、ほんのり赤く染まっていた。

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