愛するということ
チラッと友里を見ると、既に携帯のダイヤルをし終わったところらしかった。

俺は仕方なく、電話に出た。


「もしもし、高柳ですが」

『あっ。高柳さんのお宅ですね。ご主人ですか』



電話の向こう側は、ガヤガヤと騒々しい。



「いいえ、どちらさまですか」

『あっ、すいません、私東光東署の中西といいます。高柳淳子さんは、そちらのご家族ですね』


突然、警察から電話なんてなんだろう



「はい、そうですが」

『実は、高柳敦子さんの車が、事故に遭いまして、高柳さんと助手席の方が、東光総合病院に運ばれまして――』




中西と名乗るその人の電話が騒々しくて、一瞬何を話しているのか聞き取れなかった。



『高柳さん、聞こえてますか。高柳淳子さんが事故で、東光総合病院に搬送されたんです』
< 70 / 217 >

この作品をシェア

pagetop