君と見上げた空【完】
今なんて言った?


生まれつきの病気?

いつまで生きられるかわからない?


「・・・嘘でしょ?」



「・・・ホントなんだ、今まで黙ってて
 ごめんな」



「・・・嘘だ!私はそんなの信じない  
 ねぇ、ホントは嘘なんでしょ?」


嘘って言ってよ!


「ホントはただの風邪なんでしょ!?
 ねぇ、ねぇ!!」


空は何も答えない。


「ねぇ、ほんとなの?空ぁ・・・?」


空は私の目をじっと見つめて
こくんと頷いた。


私はそれを見た瞬間、一粒の涙が
こぼれ落ちた。


「うぅ・・・空ぁーッ」

そんな私を空は優しく抱きしめてくれた。


一定の間隔で私の背中を叩いてくれる。

トントントントン

それがすごくすごく優しくて
また涙がこぼれ落ちた。


「うぅ・・・ひっく、空っ空っ」









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