君と見上げた空【完】
「ごめんな、何回も言おうと思ったけど
 言い出せなかったんだ」


私の涙が止まった頃空はそう言った。


「ねぇ、空は病院の先生にいつまで
 生きられるって・・・言われたの?」



「蝶、落ち着いて聞いてな」


「うん……」


「……10歳」



「……え?」


それを聞いた瞬間頭が真っ白になった。


10歳?


「どういうこと…?」


私は恐る恐る聞いてみた。

もしかしたらいい間違えでホントは
30歳なんだとか言って欲しいと思いながら。



「生まれたときに先生がそういったん
 だってさ。だけど俺はまだ生きてる。
 だからいつ死ぬかわからないんだ」



いつ死ぬかわからない…

ということは

明日死ぬかもしれない…ってこと?


「そんなのヤダ・・・よ」


私はやっと止まった涙をまた
流した。

胸が痛くて痛くて辛かった。




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