君と見上げた空【完】
「……よっ…蝶っ起きて」


「…んっ……お母さん…?」


パチっ…目を開けると目の前には
お母さんがいた。


「ねぇ蝶、どうしたの…?」


「え?…なに急に?」


「だって蝶、泣きながら寝てたわよ」


「…え?」

私はびっくりして目元を触ると、
かすかに濡れていた。


「あ……これは…」


私が口を濁すとお母さんが寂しそうな声
で言った。


「蝶…なんで私に相談してくれないの?
 私、今まで蝶にひどいことばっかした
 から、蝶の力になりたいのに…
 …ホントは昨日も辛いことあったん
 だよね?お母さんは気づいてたよ。
 ねぇ、蝶…心配掛けたくないとか
 思ってるんだったらはっきり言うよ」


お母さんは一息おいて血相を変えたように
言い出した。


「このバカ!!あのねぇ、子供っていう
 のは親に心配をかける生き物なんだよ!
 それなのにどうしてお母さんになにも
 言ってくれないの!?」


…私間違ってた。お母さんに心配掛けない
のがいい子だと思ってた。

だけど、かけていいんだね…



「…お母さん、ごめん…あのね、
 今更だけど、聞いてくれる?」


「…当たり前じゃない!!」

お母さんはそう言って私を抱きしめて
きた。

私はすごくすごく安心した。
 

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