君と見上げた空【完】
「それなのに、あんたは毎日学校に
 来てて、泣かなくて強くて…
 そんなあんたが憎くてますます
 いじめたわ」


「……」

私はこの話を聞いて、言葉を失ってしまった。

まさか、私のいじめられてる原因は
お母さんだったなんて…


「だから私はあんたを殺すの…!」

荒川さんはそれだけ言って
こぼれ落ちそうになっていた涙を拭いた。

私もその話が処理できたとき
色々な意味で泣いた。

一つはお母さんのことで泣いた。

もうひとつは…


「荒川さんも苦しんでいたんだね…」

そう、いじめている側も苦しんでいた
と言うことで…泣いた。


「で?あんたは何が言いたいの?
 そう言って同情して殺されなくて
 済むようにしたいの? 
 ……そーゆーところがほんと
 ウザイんだよ!!」



「…違う!!私はそんなこと思って
 ない!!私はただ……」


私は、私は……


「荒川さんの苦しみを分かって 
 あげられなかったって思って…!!
 私はいじめられている時荒川さん
 を心底恨んでた。「なんで何もして
 ないのにいじめられるの?どうして!?」
 そう思ってた。だけど、ちゃんと
 理由はあった……」


「それでなに!?
 ほんとあんた意味分かんない!!
 あぁ!!ほんと今すぐにでも殺したい!!」


「……殺したいんなら殺せばいいよ。
 ほら、由希ちゃんも一緒に私のこと 
 殺しなよ。…だけど、私が貴方たちの
 ことはもう嫌いじゃないってことは
 覚えといて。貴方たちが私にしたことは
 最低なことだけど、私のお母さんが
 貴方たちにしたことも最低だから」


「……由希ちゃん、少しの間だったけど
 私の友達になってくれてありがと。
 荒川さん、色々…ごめん。
 さぁ、早く私のことを殺してよ…」



「……ッ」


「…どうして殺さないの…?」


「…うるさいうるさいうるさい!!
 あー分かったわ!!貴方のお望み通り
 あんたを殺してあげる!!」









 


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