君と見上げた空【完】
荒川さんが私をフェンスのない屋上の
端に連れて行く。そしてこう言った。


「……ほ…ほんとに殺すわよ」


「いいよ…」

私はそう答えた。死ぬかも知れないと
言う恐怖はあったけど、荒川さんなら
私を殺さない…そう思ったから。


荒川さんが私の肩近くに手を出す。


そして、その手で私の肩を押そうした
瞬間…!!


「やめて麻紀っ!!」


由希ちゃんがそう言って荒川さんの
手を掴んだ。荒川さんはびっくりした
ように由希ちゃんを見た。


「…ごめん麻紀、ごめん、ごめん…ッ」


由希ちゃんが泣きながら何回も何回も
そう言った。


「……ッ、由希…」

荒川さんは一言だけそう言って私の方を
向いた。


「舞山…あたしは一生あんたの親を
 許さないから、あんたの親が犯した
 罪をずっと覚えてるから……うぅ…
 うわぁぁぁぁんッッ!!」


荒川さんはその場に泣き崩れた。

由希ちゃんは、荒川さんをゆっくりと
抱きしめ、私はその様子をただただ見つめていた…。








< 73 / 102 >

この作品をシェア

pagetop