Heart
「あの告白は嘘だったのかもって思ったり、本当はあたしも遊ばれてるのかなとかいつもいつもそんなことしか考えなくて。」
「うん。」
「琉斗の気持ちが分からなくて。」
「うん。」
「そのうちにあたしの気持ちも分からなくなってきて。」
あたしは琉斗の顔を見た。
「でもね??いつもバルコニーで話したり、指輪をくれたりしてすごく幸せだったの。」
琉斗は真剣な顔であたしの話を聞いてくれている。
「一瞬でもあたしのこと見てくれてるって思ったらその時は何もかも忘れられたの。」
視界が少しずつぼやけていく。
「だからね??あたしのこと気にしなくて良いから。」
あたしは琉斗の身体を押し返して離れようとした。
だけど、琉斗の腕の力が更に強くなった。
「俺から離れるな。」
「でも、琉斗には……………。」
「俺、ずっと持ってたんだ。」
琉斗はいきなり何かをポケットから出してきた。
琉斗の手のひらにあったのは………………。
「あたしの指輪と…………琉斗の指輪……………。」
「ずっと肌身離さずに持ってたんだ。」
「なんで??なんであたしの指輪を??」
「マリア像にかけられてたのを持ってたんだ。」
「ど……う…………して??」