12年目の恋物語
「やせ我慢なんか、やめろよ!!」
広瀬は、顔を伏せたまま、何も答えない。
「まだ、告白だって、してないんだろ!?」
寺本も、オレの言葉にハッとしたように目を見開いた。
「言ってみなきゃ、分からないだろ!?」
「そ、そうだよ。叶太くん。陽菜だって、きっと……」
「諦めるのは、ちゃんとフラれてからで、いいじゃないか!」
広瀬が顔を伏せたまま、ポツリと言った。
「どうやって? ろくに口も聞いてもらえないのに……」
それに反論する前に、広瀬が続けた。
「それより、オレは、ハルの身体が心配で」
その言葉に、オレたちは何も言えなくなった。
「オレの存在が、ハルを苦しめるくらいだったら……」
「だけど!!」
広瀬が、ようやく顔を上げた。
そして、今にも泣き出すんじゃないかと言うような、辛そうな表情で言った。
「ハルの身体、たぶん、おまえらが思ってるより、ずっと悪いんだ」