12年目の恋物語
あれから、3年。
わたしは、陽菜が大好きだ。
叶太くんも、大好きだ。
2人の間に流れる穏やかな、暖かい空気が大好きだ。
今でも、あの時と変わらず、大好きだ。
あの2人が別れる必要なんて、どこにある?
だいたい、今さら、実は付き合ってませんでしたなんて、どんな冗談!?
確かに、陽菜はいつだって、叶太くんのことを
「腐れ縁の幼なじみ」
と言っていた。
確かに、幼なじみだし、確かに、ずっと離れることなく同じクラスの腐れ縁。
だから、陽菜の言葉に、他の意味があるなんて、考えたこともなかった。
初等部の3~4年の頃には、もう2人は、学校中の公認カップルだった。
だから、今さら、「彼氏」なんて言われなくても、「彼氏」なんだと思っていた。
叶太くんは、本人が言っていた通り、全身で陽菜を好きだって言っていたし。
陽菜は、どうだったんだろう?
あまりに穏やかで、人の悪口なんて言ったこともないような子。
まるで天使のような……。
そう思った途端、脳裏に、叶太くんの言葉があふれ出した。